鹿児島県の山間、古くから天狗の住む地と言われてきた霧島山麓の茶園を視察。
自家製堆肥造りからこだわりのお茶を生産している「西製茶工場」の茶園を見学してきました。
鹿児島県の茶生産量は、茶栽培面積8,670ha(平成23年)と静岡の18,500ha(平成23年)に次いで全国第二位!日本の茶生産面積の19%を占めています。
鹿児島茶というと関東圏に住む我々にはマイナーなイメージがありますが、そもそも鹿児島茶の発祥は今からおよそ800年前、金峰町阿多・白川に平家の落人が伝えたという説や、足利時代に吉松町の般若寺に宇治から茶種子を取り寄せ播いたのがはじまりという説、野田町の感應禅寺説などがあります。
近年は、鹿児島県の推奨農業として茶業が盛んになり、静岡県の茶園と比べ広大な緩急の少ない地形を利用して近代的なお茶作りが盛んに行われています。
鹿児島茶の近代設備の見学場所としてこの「西製茶工場」にはるばる行ってきました。
鹿児島の茶畑の特徴は、乗用型摘採機。広大な茶園の茶摘みを短時間・少人数で行うことが出来ます。そして茶葉の刈取りの調節次第で綺麗な荒茶を生産することが可能です。
鹿児島の茶畑はこの機械が運用出来るようなだらかな斜面、長いお茶園が特徴です。
茶畑の1列の長さは約150m!この列が西製茶工場さんでは70町歩(約70ha)保有しています。
そして現在も茶園は拡幅中で3年後にはまだまだ広がりそうです。
鹿児島の茶園の特徴のもう一つは「霜対策」
静岡県民の茶園の霜対策のイメージに浮かぶのは「扇風機」通称防霜ファンと呼ばれる設備。
牧之原の茶園を見回すとこの防霜ファンがあちこちに目につくと思います。
新茶摘み取り前の新芽に霜が降りると茶葉は痛み、最悪刈り落とさなければなりません。
これを防ぐたファンを動かし冷気を逃がすのです。
ですがこれだと広範囲にわたる茶園の霜対策には難しく、現在は水を散水するスプリンクラー式が増えてきました。
↑のスプリンクラーで茶園の霜対策をしています。
このスプリンクラー式では霜はもちろん、降水量が少ない場合の水やりにも効果発揮します。
更には生産時期を調整することが可能で良質な茶葉を安定的に供給できるのも特徴の一つです。
いたるところにスプリンクラーを設置しています。
それにしても鹿児島の茶園は広い!
茶園を車で移動しましたがクタクタになりました。
畑から戻るとちょうどお昼時…
農家のお母さんが自家栽培のシイタケや山菜料理をごちそうして頂きました。
その後、さらに周辺の茶畑を視察し霧島から鹿児島市内へ移動。
せっかく鹿児島に来たので黒豚が食べたい!ということで、鹿児島経済連直営のレストラン「華蓮」へ。
華蓮といったら黒豚せいろ蒸しです!豚しゃぶと比べて美味しさが逃げないので美味しさたっぷり!
私、鹿児島に出張のたびに必ずここに寄ります。
鹿児島は近年桜島の噴火が活発化しており、視察中も火山灰が道路わきに結構積もってました。
過酷な環境の中でもお茶をはじめ農畜産物のこだわりを感じます。
お茶の生産では、鹿児島の土壌に合った品種を様々生産し、静岡県の茶園ではできない味を生み出してきています。
設備も広大な土地を利用し、大量生産の中でも良質な品質を生み出そうと工夫している姿に感服しました。
近い将来、静岡茶・鹿児島茶の順位が逆転する日が来るかもしれませんね。