2013年05月ブログアーカイブ
『ぐり茶の杉山』の【ぐり茶】の味を作り出すブレンド
茶園で生葉を収穫してから、お日本茶が客様のお口に運ばれるまでたくさんの工程を経ています。
茶の各産地で生葉収穫→荒茶工場→市場→茶商→荒茶精製加工→パッケージング→出荷
今回のブログは荒茶を仕入した後、1年間かけて販売する「ぐり茶上級一番茶 1050円」の味を決めるブレンドについて紹介します。
当社「ぐり茶の杉山」は伊豆・伊東温泉に本拠を構えていますのでよくお客様から当社のぐり茶は…「産地は伊東でしょ?」と聞かれます。
当社は正直に「違います。各産地の契約農家さんの原料をブレンドして独自の味をご提供しています」と答えています。
意外とみなさんびっくりされますw
基本的に当社では、静岡・鹿児島・宮崎の茶産地を基本にブレンドして味を作っています。
上級一番茶にはさらに熊本産のぐり茶もブレンドします。
もちろん、静岡産のぐり茶も生産仕入していますので単一産地のぐり茶としてご提供することも可能です。
何故ブレンドするのか?
答えは簡単です。飽きない味・安定した味・価格以上の価値を提供すること。
単一産地を販売するなら農家直販で事足ります。
ですが、味を追求して年間ご家庭内で飲み飽きないお茶、安定した味を提供するにブレンドは欠かさせないメーカーとしてのプライドがあります。
上記の写真は、静岡産・鹿児島産・熊本産・宮崎産のぐり茶を各3トンブレンドしたサンプルです。
?各産地でさらにブレンド?
そうです。静岡産と言っても、当社では掛川・島田・牧之原等の茶葉を使用したぐり茶を使っています。
ですので上記写真の4産地でも、1産地当たり最低でも4つの荒茶工場の原料。しかも毎日微妙に品質が違う茶葉まで含めると30種類以上の原料をブレンドしています。
それが4産地ですので…30種×4産地=120種類のぐり茶原料をブレンドするのです。
■静岡産の味の特徴は、香気があり1煎目・2煎目も平均的に美味しく飲めるがのど越しがさっぱり。
■鹿児島産は、味がどっしりして口の中に余韻が広がりお茶の色が綺麗。
■熊本産は、味が濃いが後味すっきり。
■宮崎産は、甘味が強く香りがある。
…というように各産地で味の特徴が異なります。
異なった味をブレンドしていくと奥深い、当社の【ぐり茶】が出来上がるのです。
お茶は自然が産み出す味。それ以外何も足せません。
加工食品なら香料や着味・着色しますが、日本茶は無添加な飲料。
自然食品の代表と言っても過言はないのですがそれがメーカーにしてみれば悩みの種なんですw
お茶の味って実は毎年違うんです!
天候によって味が薄い・濃い、お茶の色が黄色い・青い、など本当に違います。
そしてお茶の天敵「霜」が降りると目も当てられない状況に陥ることもあります。
それらのマイナス要因を防ぐ意味でも、ブレンドするということは非常に重要なことです。
私、お茶屋ですがコ-ヒ-も飲みます。
コーヒーもブレンドのほうが味わい深いですよね。
お茶もブレンドすることで各産地の特色・製造法の違いを合わせると、単一産地の味と比べ奥深い断層的な味が出来上がります。
当社の【ぐり茶】の味はこの理念の基、各産地の厳選した荒茶工場から荒茶を厳選し、1年間販売するに満足なブレンド比率を決めていくのです。
最後までお読み頂きありがとうございます。
この「ぐり茶」のお試しセットをクロネコヤマトメール便
ぐり茶と煎茶の違い(荒茶製造過程)
ぐり茶と煎茶の違いはまず「見た目」
写真で見ていただければ一目両全です。
分り易いように、深蒸し製法の茶葉ではなくここでは浅蒸し製法の茶葉で説明します。
ぐり茶とは正式名称は「蒸製玉緑茶」
玉のように葉っぱがぐりっとしている形状からこの名称がつけられています。
伊豆・伊東地方では、販売時に「蒸製玉緑茶です!」と呼ぶとお客様も???となり説明しにくいことから、ぐりっとしていることから【ぐり茶】と呼んで販売してきました。
煎茶は上記の写真のように、針のようにぴんとまっすぐです。
なぜこのぐり茶と煎茶では形が変わるか!?
それは荒茶と言われるお茶の原料の製造工程の違いにあります。
使用する生葉は、もちろん煎茶もぐり茶も一緒です。
違いは【精揉】と【再乾】です。
■精揉とは、お煎茶を作る工程でここで茶葉がピンとまっすぐに形を作ります
■再乾とは、ぐり茶を作る独特の工程で茶葉をぐりっとした形にします。
ただこれだけの違いです…というと簡単ですw
わかりやすく写真で製造している機械を紹介します。
まず、煎茶の形を作る「精揉機」です。
上記の機械がガッチャン!ガッチャン!と上下に振り子運動して、手揉み茶でいう手のひらを使って葉っぱをまっすぐにする工程を行います。
ぐり茶独特の機械「再乾機」です。
この機械は円筒状になっていて、この写真はその内部を映したものです。
この再乾機はグルグル回って茶葉に遠心力をかけ形状を玉状にしていきます。
形状を作るのに内部に茶葉が引っかかるようフィンを付けています。
これが、ぐり茶と煎茶を製造するうえでの大きな違いで、この工程は各茶産地の荒茶工場ですべて行われます。
※荒茶工場とは各産地に点在しその産地で収穫された生葉を集め蒸気で蒸し乾燥させる工場です。荒茶はまだ大きさも不揃いで、茎なども混じっているため半製品を作り上げます。ここで生産される荒茶の水分率は5%程度。
簡単に違いを説明しましたが、これでお茶の味の違いはあるの?と言われると…もちろんあります!
精揉がなく再乾で仕上げるのが「ぐり茶」!
茶葉を押す余分な力が加わっていませんので、最終製品にしたときにお茶の持つ旨味がしっかり残っています!
ぐり茶は、見た目重視より味重視なのです。
【2013年度新茶】 伊久美製茶農園(ぐり茶の杉山契約茶園)のカブセ製法
2013年度の新茶シーズンも最盛期入りした4月末頃、静岡県島田市伊久美ではまだ新茶の刈取り前。
伊久美(地図)という場所は島田市でも山間地。本川根の手前に存在する谷間の村です。
ここに、当社・ぐり茶の杉山のぐり茶原料(荒茶)を専属に製造して30数年の契約茶園があります。
ここで八十八夜摘みぐり茶の荒茶は特殊な方法で栽培している茶葉を使用します。
【カブセ製法】と呼ばれる茶葉の栽培方法です。
カブセ製法とは、太陽の光を1週間前後さえぎって新芽を育てることで、濃い緑茶の茶葉となり、旨みを感じるお茶ができあがります。寒冷紗などで1週間前後茶園を覆い(被覆栽培)、日光をさえぎって育てたお茶のことを呼びます。陽の光をあてずに新芽を育てるため、茶葉の緑色が濃くなり、渋みが少なく旨みを多く含みます。
上の写真を見てください!新芽いっぱいの茶園というと緑の蒲鉾状の茶園を想像される方が大半でしょうが、カブセ製法の茶園はこのように真っ黒!
太陽の光を80%遮るメッシュのシートで覆います。
茶園一面に覆う作業は人手もかかり、製造量も多くなく少量でしか生産できません。
ここで生産されるカブセ製法のぐり茶原料はわずか200Kg…。
そして茶園にダメージを抑えるため2番茶の生産はやらないという贅沢な「ぐり茶」が出来ます。
上の写真がカブセ製法のぐり茶。お茶の色も青く、喉に通る感触もトロッとしています。
こちらのぐり茶は、八十八夜摘みぐり茶として限定販売しています。