2023年10月ブログアーカイブ
被覆栽培って?
被覆栽培とは新芽の育成中に茶樹に覆いをかけ、一定期間日光を遮って栽培する方法のこと。高品質な茶葉を作る際に多く行われる栽培方法です。
茶業界用語では「被せ」とも呼ばれる手法です。
栽培期間
玉露や碾茶(抹茶の原料茶)

20日間前後の被覆栽培、もしくはそれ以上の期間行う
かぶせ茶

10日前後の被覆栽培(上記より短い期間)
被覆栽培を行う目的
被覆栽培を行う一番の目的は、お茶の「旨味」を増すことにあります。
以下で詳しく説明していきます。
濃厚な旨味
露天栽培のお茶に比べ、渋味・苦味が軽くなり甘みを感じやすくなります。
お茶の主な旨味成分である「テアニン」は、日光に当たることで渋味成分である「カテキン」に変化するという性質を持っています。
被覆栽培では日光を遮って栽培することで、テアニンがカテキンに変化するのを防ぐことができ、旨味をたっぷりと蓄えたお茶を作ることができるのです。
また、カテキンよりもさっぱりとした苦味のカフェインは、遮光することでその量が増えるため、被覆栽培のお茶は露天栽培のお茶に比べ、渋味・苦味が軽くなり甘みを感じやすくなります。
覆い香から生まれる芳潤な香り
被覆栽培を行うことによって、茶葉には「覆い香」と呼ばれる、海苔のような独特の香りが付加されます。
これは「ジメチルスルフィド」という香気成分が作られることで生まれる香りで、他の香気成分と混じり合い、お茶の爽やかな香りを作り出してくれるのです。
被覆栽培を行って作られた証拠とも言える「覆い香」は、高級茶の証とも言える香りなのです。
鮮やかで美しい水の色
被覆栽培は茶葉の色、ひいては水色も変化させます。
日光を遮ることで、茶葉はより少ない日光で光合成を行うために、茶葉中の葉緑素(クロロフィル)を増やします。
葉緑素は葉の色素なので、通常の茶葉と比べて緑色が濃くなり、鮮やかな濃緑の茶葉に育つのです。
また、少しでも日光を浴びる面積を広げるために、茶葉はより大きく、そして薄く育ちます。
通常の茶葉よりも薄く育った新芽は柔らかく、加工がしやすいため、ピンと針のように伸びた美しいお茶が作れることも、被覆栽培の目的の一つです。
被覆栽培のお茶は露天栽培のお茶に比べ、鮮やかな緑色の水の色になり、覆い香から生まれる芳潤な香り、そして濃厚な旨味を感じられる味わいが特徴です。


お茶の保存方法
お茶は、保存方法一つで品質が大きく変わってしまいます。
お茶は乾燥しているから長く持つと思っている方も多いですが、茶葉は水分含有量3パーセント程度まで乾燥させているため、空気中の湿気を吸収しやすいのです。
お茶が劣化する要因
お茶が劣化する要因はいくつかあります。
湿気と高温


お茶が湿気を吸収すると酸化しやすくなり、茶葉の色ツヤ、入れたときのお茶の色、香り、味などが落ちてしまいます。
高温の状態にあるのも酸化を加速させる要因の一つ。
直射日光や蛍光灯の光による酸化

お茶は光(紫外線)、酸素、熱の影響を受けて変質してしまいます。
直射日光や蛍光灯の光に当たることで酸化が進み、カテキンやビタミンCなどの栄養素が破壊されるほか、色も悪くなってしまいます。
周囲の香りに敏感

周囲の香りを吸収しやすいので、香りの強いものと一緒に保存するとお茶本来の味や香りに影響してしまいます。
ではいったいお茶はどうやって保存するのが良いのでしょうか?
保存方法は開封前と後では異なります
基本的にお茶の保存方法は開封前と開封後で保存方法は違います。
それぞれをご説明していきます。
開封前
袋ごと冷蔵庫で、保存するのがオススメです。
実際に大量のお茶を扱うお茶工場では、大型冷蔵庫でお茶を真空状態にして保存しているんですよ。
ぐり茶の杉山では、お茶の鮮度を保てるよう袋にお茶を詰める際【窒素ガス】を封入しています。未開封の商品ならば【窒素ガス】の効果で美味しさが長持ちします。
冷蔵庫から取り出した冷たいお茶は、開封時に結露してしまうのを防ぐために、開封前に半日~1日程度かけて常温に戻してください。
折角保存したお茶が水分を含んでしまい、味や香りが落ちてしまいますので要注意です。
開封後
お茶は茶缶(茶筒)に移すか、袋の空気を抜いてしっかりとチャックをした後に冷暗所で保存してください。
さらに脱酸素剤や乾燥材などを一緒に入れておくのがおすすめ。
お茶の変質を避ける為、直射日光を避け、なるべく涼しい所に置きましょう。
光を通さない袋や容器に入れておくのもポイントとなります。
開封したお茶は、きちんと封をして空気を抜いたつもりでも、ほんのわずかな隙間から他の食品の香りが移ってしまいます。それだけお茶は匂いを吸収しやすいのです。
当店のお茶はチャック付き袋に入っておりますので、保存がし易いです。

美味しく飲むために
お茶は開封後、夏季は半月以内、冬季は1か月位で開封後使い切るのがよいとされています。
パッケージに記載されている賞味期限は、あくまで開封までの期間ですので、開封したらできるだけ早く飲みきるようにしましょう。
おいしくお茶をいただくために、ぜひ今回ご紹介したお茶の保存方法をご参考ください。