福岡県は八女、その八女の山奥にある奥八女の「星野製茶園」さんの碾茶・抹茶工場を見学してきました。
八女のお茶の歴史は古く、高級茶の産地として知られています。
日本の茶の生産量は第6位と日本茶生産量の3%を占めている「八女茶」。
その八女茶の中でも異色の輝きを持つこの星野製茶園さんは、この八女茶以外に「玉露」「抹茶」を製造しています。
玉露では、八女の玉露と言ったら星野と言われるほど高品質な玉露を製造し、ロイヤルブルーティーという高級ボトリングティーとコラボし「King of Green HIRO premium」という商品も生み出しています。
今回の視察は、玉露ではなく抹茶。
星野製茶園さんの抹茶は、京都の抹茶と比べてフレッシュでまろやかなのど越しで私のお気に入り。
星野製茶園の有名人、茶師コンテストで史上初満点を取った絶対味覚のある茶師山口真也さんにその抹茶を作る工程を見学させて頂きました。
さて、久留米市から車で星野村へ行く途中は驚愕でした。2012年7月、星野製茶さんに行く途中の道が豪雨でところどころ決壊やがけ崩れがあり、現在も復旧のめどが立たないほどの被害。
しかも道幅も狭く車がすれ違うのがやっと…。秘境の中に星野製茶さんはあります。
そんな被災の爪痕を見ながら星野製茶園に到着。
そもそも抹茶とは碾茶から作られます。
??…ではよく売られてる深蒸し茶の抹茶って?という方、そんな抹茶はありませんw
正当な抹茶は抹茶にするためのお茶、それが碾茶です。
碾茶とは、蒸して作られる緑茶の一種で、中国茶の一つである甜茶(てんちゃ)は別の物です。
栽培の仕方は、玉露と似ていて収穫前に被覆した茶葉を蒸し、碾茶炉で乾燥して製造します。
煎茶のように茶葉を揉む工程が無いため、形状は青海苔に似て、その香気は玉露同様独特のかぶせ香があり、適度に香ばしいお茶です。
茶を摘採まで少なくとも20日以上被覆してその生葉を蒸して揉まずに乾燥せしめたものであります。
↑碾茶用の茶畑。茶ノ木の上に日光を遮る布をはります。直射日光を遮ることでうまみ成分がぎっしりつまった茶葉が出来ます。
畑から収穫した茶葉は碾茶工場に集められ、生葉用コンテナに入れ、蒸し・乾燥工程を順番にこなします。
この生葉コンテナには一工夫してあり、蒸し工程への待機中に生葉の痛みを防ぐために加湿を通した風を下から送り込んでいます。
↑コンテナのそこは通風よくステンレスメッシュ
碾茶と普通の荒茶を作る工程の見た目の違いはまずこれ、散茶という工程。
蒸した茶葉を↑のようなメッシュのタワーの中で下から強風を送り茶葉を冷却しながらばらばらにほぐします。
そして煉瓦造りの乾燥機に茶葉が入り乾燥させます。
乾燥が終わった茶葉は茎等を取り除けば碾茶の完成です。
一見青のりみたいですw
この碾茶を冷蔵庫で保管し、抹茶出荷の度に石臼で碾茶を挽きます。
抹茶を挽くといっても人間の手ではなく、機械化されています。
回転スピードも風味を殺さない絶妙な設定をされているみたいです。
「石臼の石が研磨されて石が混入されることはないのですか?」という失礼な質問をぶつけたところ、「碾茶が石臼に入っている時点で100%ありえません。碾茶が無くなる前にストップしますので…」
なるほどー。
それにしてもこの抹茶を挽いている機械、一定のリズムでグルグル…。
見ていると、お茶のアロマと合わせて眠くなります…。
実はこの星野製茶園さんに来る前、こともあろうか豚骨の野趣たっぷりの久留米ラーメン「大龍一番」でラーメン・餃子を不謹慎にも食べてしまって…。
でも、本当にここのラーメンは美味いです!ですが食べていない他人からすればかなり臭うはず…。
さあ、工場見学も終わり、お店で挽きたての抹茶を試飲させて頂きました。
うーーん、さすが香りよし。きめ細かな泡が心地よく、すっと入ります。
抹茶って苦い?いえいえ、ちゃんとした抹茶は苦くないですよ。
実は私、生まれて一度も苦い抹茶飲んだことがないんです。
上記の工程でしっかりと作られた抹茶は本当に贅沢な一杯です。
私、お茶屋に生まれてきてまがい物の抹茶自体飲んだことがないので、抹茶=苦いというイメージはなかったのですが自分の周辺の方のイメージはそのような印象があるようです。
抹茶をたてること自体敷居が高く感じる抹茶ですが、作法の極意はリラックスすること。
気軽にお抹茶を飲むことに挑戦して頂きたいですね。
気軽にと言えば当店ではこの星野製茶園の抹茶を使用した抹茶ラテ「抹茶オーレ」取り扱っています。
貴重なお時間、工場を案内して頂いた山口さん、ありがとうございました。
尚、当社「ぐり茶の杉山」の商品ラインナップに近々この「星野抹茶」を発売予定です。
発売時にはぜひご賞味くださいませ。