お湯を沸かす容器の材質で残留塩素の量が変わる
~水道水を沸かす場合~
水道水とは、日本では残留塩素を0.1mg/L以上含む水であって、高い地域では2.0mg/Lも含むものもある。
この塩素、人間が飲むために安全の代償として水道水に含まれているが、「臭い」だけは頂けない。
前回のブログで塩素をとばすには沸騰することが大事と書いたが、今回は沸騰させるやかんの材質について書いてみます。
「静岡県お茶と水研究会」からの調査報告です。
お茶を飲むとき、水を(※1)ヤカン(※2)に入れ一旦沸騰(※3)してから5分くらいそのまま沸かし続けた後お茶を入れるが、最も普遍的なのが水道水をそのままヤカンに汲んで沸かすケースではないだろうか。 ほとんどの本に残留塩素は沸かせば飛んでしまう、だから蓋を取って5分沸騰させてからと書いてあるが、そうでは無いこと、ヤカンの材質によって大きな差があること、また汚染の由来をもつ水は沸騰で残留塩素は無くなるが、良い水では純水が蒸発した分濃度が濃くなる傾向があること。要するに残留塩素は100度の温度だけで揮散するもので無いことが解った。
水道水からカルキ成分を飛ばすためにはヤカンを選んで使う
鉄瓶>使い古したアルミヤカン>アルミヤカン>ステンレス製>ホーロー製・ガラス製の
順になる。
ヤカンの材質を選ぶ、鉄は微量とけて容器内塩素分解の触媒の役を果たしているものと考
えられる。塩素は無くなるが微量の鉄の溶出がお茶の味に影響するかはまだ試験していな
い。使い古したヤカンが次ぎに来るのは内部に付着した成分の触媒効果と面積の広さにあ
るものと考えられる。要するに残留塩素の消長は材質の溶解度に反比例すると考えて良さ
そうである。
沸騰してから5分位そのままにする意味
水を沸騰させる効用は第一に、有害な細菌を死滅させることにある。次が硬度成分中のマ
グネシウムの一部を不溶成分に変え下痢を起こすことを抑えることと、一時硬度成分を不
溶性のものに変え、茶葉のもつ香りや成分を引き出すため、が昔からの知恵である。昨今
では溶存ガスをできるだけ飛ばしてpHを上げ色が良く出る作用、トリハロメタン等を蒸
発させるための意味も考えられる。
以上、私がお茶知識人養成総合講座「O-CHA未来大学」の講座で学んだことを抜粋しました。
お茶の水について本気で研究されている方の講義で「水」について熱く語っていられたのが印象的でした。
「おいしい水」とは、「そのまま飲んで、おいしいと感じる水の事である」と単純に定義する人もいるがこの考え方からすれば、無色・透明・無味・無臭で、ある程度ミネラル成分を含み適度に冷えていれば、雑菌・大腸菌がうじゃうじゃいても「おいしい水」として適合してしまうし、基準を超える砒素や鉛を含んでいても適合してしまうことが考えられる。その考え方からすると「おいしい水」とは「国で決めた飲料水水質基準に合格し、そのまま飲んで、おいしいと感じる水のことである」と言うのが良い様に思うが、そうするとフランス等から輸入しているミネラルウォーター等では硬度成分の量で日本の厚生省で定めた飲料水水質基準から外れるものが出てくる。
従って「おいしい水」の解釈については、その表現自体が曖昧なものであり、遊び心の有るものであるので、難しいことは抜きにして、「おいしい水」とは、「安全でそのまま飲んで、おいしいと感じる水の事である。」と定義するのが妥当であろう。
なぜこの定義にこだわるかというと、一般的には「おいしい水」というとそのまま飲んでも、お茶、コーヒーの嗜好飲料用として使用しても、炊飯用に、調理用に、粉ミルクを溶かすのに、洗濯用に、加湿器用に、等などすべてに良いと思う人がたくさんいるので、あえてそれらに良い水のことではなくて「そのまま飲んでおいしい水の事」であるという区別が必要なのである。輸入された本物のミネラルウォーターがおいしい水とは限らない原因がここにある。
海外で販売されているボトルドウォーターは“安全”を求めるもの、“おいしさ”を求めるもの、“健康に役立つ”ものを求めるものの棲み分けができているしユーザーもそれらを知って飲み分けているが、日本ではボトルドウォーターとは、“おいしい水”という概念で販売しているせいか、ほとんどが水道水に近いもので、癖や個性や特徴が無く、何にでも向くが何の効用もない、ただのムード水が多く売られている。
因みに健康に良い水と美肌を作るとは相反し、おいしい水と健康に良い水も異なり、おいしい水と安全な水も異なり、おいしい水と清涼飲料水を作るのに良い水も異なり、おいしい水と緑茶をいれるのに向く水も異なるからである。要するに「おいしい」とは健康、等と関係なく、人間の目~鼻~口~食道まで心地よいものであれば良いというものであるので、そこのところの関係がよく理解できないとおいしい水の条件が違ってくるのである。